下水道料金以外の水道光熱費は、自己破産の申立日を含む請求期間1か月分より前の分は、免責(免除)されます。
しかし、自己破産の申立日を含む請求期間1か月分は、免責されません。
一方で、下水道料金は、自己破産をしても免責されず、支払義務が残ります。
また、法律上、裁判所が破産手続開始決定を出したあとは、自己破産の申立て以前の分の公共料金の未払いを理由に、電気・ガス・水道などのインフラの供給を止めることは禁止されています。
そのため、自己破産をすれば電気・ガス・水道などを止められてしまうということはありません。
ただし、自己破産の申立て後に発生する公共料金を滞納すれば、電気・ガス・水道などを止められてしまうおそれがありますので、注意が必要です。
なお、上記のとおり、電気・ガス・水道などのインフラ供給の停止が禁止されるのは、あくまでも裁判所が破産手続開始決定を出したあとです。
破産手続開始決定の前にはこのような規制がないため、自己破産の申立ての前に公共料金の滞納状態が続けば、電気・ガス・水道などが止められてしまう可能性があります。
これに対し、他の借金の支払を停止する一方で、滞納している公共料金だけを支払うことにより、電気・ガス・水道などの供給停止を回避することは、免責不許可事由に該当する可能性がありますので、注意が必要です。
免責不許可事由とは、自己破産による免責を受けられなくなる原因となり得る事情のことであり、特定の債権者に対して優先的に支払をすることは、免責不許可事由に該当します。
電気・ガス・水道は、生活に必要不可欠なものであり、他の債権者に優先して公共料金の支払をしたとしても、一般的には免責不許可事由の程度・悪質性は軽微であると考えられ、最終的には免責を受けられることが多いものと想定されます。
しかし、場合によっては裁判所が破産管財人を選任し、公共料金の支払の是非について調査を行うなど、手続が複雑化する可能性がありますので、弁護士の助言のもとに慎重にご対応いただくことをお勧めいたします。
インフラの供給停止を回避するためには、電気・ガス・水道などの事業者に対して受任通知(弁護士が介入した旨の債権者宛ての通知)を送付せずに、自己破産の申立てを急ぐという対応の方が無難なケースもあります。
また、親族などを頼って代わりに支払ってもらうなどの対応も考えられます。
どのような対応をとるかについては、法律の専門家である弁護士にご相談のうえで、慎重にご判断いただくことをお勧めいたします。