連帯債務者とは、住宅ローンについて複数の債務者(借主)がそれぞれ独立して全額の返済義務を負う関係のことを言います。
連帯保証人が主たる債務者の借入を保証するという形であるのに対し、連帯債務者は自身も債務者であるという形です。
住宅ローンの連帯債務者の1人が自己破産をした場合、以下のように、他の連帯債務者に大きな影響があります。
住宅ローンが連帯債務である場合には、不動産の名義も各連帯債務者の共有となっていることが多く、①住宅ローンの支払の問題と、②不動産の名義の問題が生じます。

①住宅ローンの支払の問題

他の連帯債務者に支払能力があり、住宅を手元に残すことを希望する場合には、住宅ローン全額を他の連帯債務者の名義に変更するように債権者(貸主)と交渉すること、あるいは、他の連帯債務者が別の金融機関から住宅ローンの借り換えを行うこと、が考えられます。
しかし、一般的には、連帯債務者の1人が自己破産をした場合、その時点で保証会社による代位弁済が行われます。
住宅ローンでは、あらかじめ保証会社と保証契約を締結することが多く、保証会社が債務者に代わって債権者へ支払をし、住宅ローンの債権が保証会社へ移ることを代位弁済と言います。
そして、代位弁済をした保証会社からは、住宅ローンの一括返済を求められるのが通常です。
このとき、保証会社が従来どおりの分割払いに応じるかどうかは交渉してみなければ分かりませんし、住宅ローンの借り換えができるかどうかもその金融機関の審査次第となります。
住宅ローンを一括返済するとなれば、当然ながら、相当の現金を用意しなければならないでしょう。
実際には、住宅ローンの連帯債務者の1人が自己破産をせざるを得ない状況に陥ることで、他の連帯債務者も自己破産を選択せざるを得ないということも少なくないでしょう。

②不動産の名義の問題

不動産の名義が各連帯債務者の共有となっている場合、住宅を手元に残すことを希望するのであれば、自己破産をした連帯債務者の持分の名義を他の連帯債務者に変更することが必要となります。
この点、不動産の持分を保有している人が自己破産をすれば、破産管財人が選任されることが多く、持分の名義変更は破産管財人との交渉となります。
住宅ローンの残高が不動産の評価額を上回るオーバーローンの状態であれば、破産管財人が不動産の持分を放棄し、無償で持分の名義変更を実現できることもありますが、一定の対価(現金)の支払が必要となることも少なくないでしょう。
不動産の持分の名義変更を行うにも、手続費用がかかります。
他の連帯債務者が住宅を手元に残すことを希望するのであれば、あらかじめ一定の金銭の支出を見込んでおく必要があるでしょう。
具体的な金銭の支出の有無・金額は、住宅ローンの残高、不動産の評価額、持分の割合などの事情のほかに、破産管財人の判断もありますので、事前に明確な基準をお示しすることは困難なことも多いです。
また、他の連帯債務者が住宅を手元に残すことを希望するのであれば、上記の①住宅ローンの支払の問題もクリアしなければなりません。

まとめ

以上のように、住宅ローンの連帯債務者の1人が自己破産をすると、他の連帯債務者に大きな影響があります。
一般的には、他の連帯債務者も自己破産をせざるを得ず、住宅も手放さざるを得なくなるリスクが高いという答えになります。
そのため、他の連帯債務者への影響を回避したいのであれば、住宅資金特別条項付個人再生など、自己破産以外の選択肢も検討することになるでしょう。

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