自己破産のことを職場に知られてしまう可能性は低いのが通常です。
自己破産をすれば、政府が発行する「官報」という刊行物に住所や氏名が記載されますが、一般の人が官報を読む機会はまずありませんので、心配は無用でしょう。
また、自己破産の申立ての際に、勤続年数が一定年数以上の正社員であれば、仮に現時点で職場を退職した場合の退職金見込額計算書または退職金がないことの証明書を、職場から取り付けて裁判所に提出しなければなりません。
職場から退職金見込額計算書等を取り付けようとした際に、「何のために必要なのか?」と聞かれることが多いと思われます。
このように問われた際には、「将来設計のために知っておきたいと思っている」、「妻が将来の生活設計のために知りたいと言っている」、「不動産の購入や住宅ローンの借り換えを検討しており、審査のために提出する必要があると言われている」などと説明すればよいでしょう。
なお、退職金見込額計算書等の提出が難しい場合には、就業規則や退職金規程のコピーで代用できることもあります。
一方で、職場からの借金がある場合には、職場に自己破産のことを知られてしまいます。
自己破産の手続は、一部の債権者だけを除外して進めることはできません。
そのため、職場を含むすべての債権者に対し、弁護士や裁判所からの通知が送付されることとなります。
また、自己破産の申立てが遅くなると、債権者から裁判を提起されて給与の差押えを受けることもあります。
そうなると、借金を滞納している事実が職場に知られ、結果的に自己破産のことも説明せざるを得なくなることが多いでしょう。