「〇〇〇〇債権回収」などの名称の知らない会社から、いきなり請求書・督促状が送られてきたとか、裁判所から、「〇〇〇〇債権回収」を原告とする訴状・支払督促が突然届いたなどで、お困りの方はいらっしゃいませんか?
借金を滞納していた場合には、元々の借入先の金融業者が「〇〇〇〇債権回収」などの名称の債権回収会社に債権(借金の返済を請求する権利)を売り渡したり、借金の回収を債権回収会社に委託したりすることがあります。
このような場合に、知らない会社からの請求だからといって、「怪しいから、無視しよう」という対応をしてしまうと、最終的に給料や預貯金・不動産・自動車などの財産を差し押さえられてしまうこともありますので、放置してはいけません。
このページでは、債権回収会社から請求を受けた場合の対応について、ご説明させていただきます。

債権回収会社とは

債権回収会社とは、法務大臣の許可のもとに、債権の回収を専門に行う会社のことです。
債権回収会社は、「債権管理回収業に関する特別措置法」(サービサー法)という法律によって、債権の回収業務を行うことを特別に認められている会社です。
したがって、債権回収会社は、ヤミ金のような違法な業者ではありません。
許可を受けている債権回収会社は、法務省のホームページで公開されていますので、知らない会社から突然請求を受けた場合には、まずはこちらで調べてみるとよいでしょう。

元々借入をした金融業者からではなく、債権回収会社からの請求を受けるのは、滞納が相当長期にわたっており、金融業者からの督促に応じていないというケースが大半です。
そして、元々借入をした金融業者は、自社で回収作業を行うのは手間やコストがかかるため、債権回収を専門とする債権回収会社に対し、債権を売り渡し、または回収作業を委託したのです。

債権回収会社は、債権回収のプロであり、相応の法律知識も備えています。
法務大臣の許可を受けて回収業務を行っていますので、闇金のように脅迫的な言葉を使ったり、深夜に押しかけてきたりするような違法行為に出ることはありません。
債権回収会社の回収手法としては、まずは請求書・督促状を郵送してくることが多いです。
請求書・督促状には、請求する金額と支払期限などが記載され、「期限までに支払がなければ法的措置を講じる」という内容が書かれているのが通常です。
このような請求書・督促状を送付しても支払を受けられず、任意の交渉で支払ってもらうことが難しいと判断されると、債権回収会社は、次のステップとして、裁判所に訴訟の提起や支払督促の申立てを行って、強制執行による回収を図ろうと動いてきます。
強制執行とは、給料や預貯金・不動産・自動車などの財産を差し押さえることであり、強制執行を受けることによって、生活などに重大な支障が生じます。
強制執行の段階まで来てしまうと、弁護士を立てて債権回収会社と交渉しても、完済しない限り差押えを取り下げてもらえることはまずありません。
したがって、債権回収会社から請求書・督促状が送られてきた場合には、強制執行に向けた流れに乗ってしまったのだということをご理解ください。
そして、差押えを受けて深刻な事態に陥ることがないように、一刻も早く弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。

債権回収会社からの請求への対応

債権回収会社からの請求書・督促状には、借金の全額を、債権回収会社が指定する期限までに、一括で支払うように記載されているのが通常です。
借金の全額とは、元本のほかに、利息や遅延損害金を加えた金額です。
滞納期間が何年にもわたっていると、遅延損害金が積み重なって、元本を超える金額になっていることもあります。
債権回収会社からは、請求書・督促状が送られてくるほかに、電話を掛けてきたり、自宅に訪問してきたりすることもあります。

上記のとおり、債権回収会社からの請求を受けた場合には、放置してはいけません。
お早めに弁護士にご相談いただいて、対応に関する助言を受けるようにしてください。
弁護士に依頼して債権回収会社と交渉することで、分割での支払や遅延損害金の減額に応じてくれることが多いです。
また、5年以上一切支払をしていないという場合には、消滅時効を援用することによって、借金の返済を免れることができる可能性があります。
この点、ご自身で下手に債権回収会社に連絡し、借金の存在を認めるとか、返済の約束をするなどしてしまうと、消滅時効の制度を利用できなくなることもありますので、十分にご注意ください。
慌てて債権回収会社に連絡するのではなく、まずは弁護士にご相談いただくのが安全です。

>>>消滅時効の援用については、こちらをご覧ください。

裁判所から訴状・支払督促が届いた場合の対応

債権回収会社からの請求書・督促状を無視したり、支払方法について合意ができなかったりすると、債権回収会社は、裁判所に訴訟の提起や支払督促の申立てをしてきます。
裁判所に訴訟の提起や支払督促の申立てを行うかどうか、どのタイミングで行うかについては、債権回収会社が自由に判断することができます。
そのため、結局、訴訟の提起や支払督促の申立てが行われないということもありますし、事前に請求書・督促状を送付することなく、いきなり訴訟の提起や支払督促の申立てが行われるというケースも存在します。

訴訟が提起されると、裁判所から「訴状」が送られてきます。
そして、ご自身の言い分を記載した「答弁書」を提出するように指示されます。
分割払いの希望、あるいは消滅時効の援用など、ご自身の意向を答弁書に記載して提出し、呼び出された裁判期日に裁判所に出頭して対応する必要があります。
もし答弁書を提出せず、裁判期日に裁判所に出頭もしなかった場合には、債権回収会社の言い分がすべて通る形で、元本・利息・遅延損害金を含む全額を一括で支払うように命じる判決が出されます(欠席判決)。
債権回収会社は、判決を得ることで、強制執行を行うことができるようになります。
したがって、訴訟が提起されたのを無視・放置してはいけません。

支払督促は、簡易な裁判手続の制度であり、裁判所から「支払督促」が送られてきてから、異議申立てを出せる期間として2週間が設定されます。
2週間の期限内に異議申立てを行えば、通常の訴訟の手続に移行するため、上記と同様に答弁書を作成・提出し、裁判期日に出頭するという対応を取ることになります。
支払督促についても、2週間の期限内に異議申立てを行わずに放置すると、支払督促に記載された支払の命令が確定し、判決と同様の効果を持つこととなります。
そして、債権回収会社は、確定した支払督促をもって、強制執行の手続に移行することが可能となりますので、支払督促を無視・放置してはいけません。

訴訟にしても、支払督促にしても、適切な対応を行うためには、法的な知識が必要です。
そして、普段お仕事をされている個人の方がご自身で対応することには、時間的・精神的にご負担が非常に大きいことと存じます。
法律の専門家である弁護士にご相談いただいたうえで、対応をご依頼されるのがよいと存じます。

弁護士に対応を依頼するメリット

債権回収会社は、債権回収のプロであり、相応の法律知識も備えています。
そのような債権回収会社を相手に、ご自身で分割での支払や遅延損害金の減額の交渉、消滅時効の援用の手続などを行うのは、容易なことではありません。
安心して交渉や手続を進めていくためにも、法律知識に精通し、債務整理に手慣れた専門家である弁護士にご相談・ご依頼いただくのがよいでしょう。
ご自身で対応することによる時間的・精神的負担が大きく軽減されますし、最終的により有利な結果を得られる可能性も高いでしょう。